相続税の計算方法
※令和2年4月1日現在の法令によっています。
平成27年1月1日以後の相続について基礎控除額や税率等が変更されました。
1.税金のかからない範囲
相続税は、亡くなった人から相続又は遺贈によって遺産を取得した方が、取得した遺産の評価額に応じて負担する税金です。
正味の遺産額が基礎控除額以下の場合には、相続税はかかりません。
基礎控除額・・・3,000万円+600万円×法定相続人の数
例:法定相続人が妻と子供2人の場合の基礎控除額
3,000万+600万×3人=4,800万円
2.税額計算の仕方
(1) 正味の遺産額
土地・建物や預金等の財産から借入金や未払金等の債務を引いたものが正味の遺産額になります(生命保険金や死亡退職金はそれぞれ非課税限度額を超えた分が加算されます)。
【例題】
- 現金・預金・株式
- 8,700万円
- 土地(特例適用後)
(居住用宅地(330㎡まで)など一定の要件に該当する土地の場合には特例の減額後の金額となります。下記(注)参照) - 1,600万円
- 建物
- 1,000万円
- 生命保険金(入金額6,000万円−500万円×3)
- 4,500万円
総遺産額 1億5,800万円
- 借入金
- △ 700万円
- 葬儀費用
- △ 300万円
正味の遺産額 1億4,800万円
(2) 課税遺産総額(上記【例題】の場合)
正味の遺産額から基礎控除額を引いたものが課税遺産総額になります。
1億4,800万円-4,800万円(基礎控除額:3,000万円+600万円×3)=1億円
(3) 相続税の総額の計算
上記(2)で計算した課税遺産総額を一旦、法定相続分で分割したものと想定して相続税の総額を計算します。
妻 | 1億円 | × | 1/2 | = | 5,000万円 |
---|---|---|---|---|---|
長女 | 1億円 | × | 1/4 | = | 2,500万円 |
長男 | 1億円 | × | 1/4 | = | 2,500万円 |
速算表で相続税額を計算すると、下記のとおりとなります。
妻 | 5,000万円 | × | 20%(税率) | - | 200万円(控除額) | = | 800万円 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
長女 | 2,500万円 | × | 15%(税率) | - | 50万円(控除額) | = | 325万円 |
長男 | 2,500万円 | × | 15%(税率) | - | 50万円(控除額) | = | 325万円 |
相続税の速算表
課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | ー |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
(4) 各人の納税額の計算
上記(3)の相続税の総額をもとに実際の各人の相続割合により各人の相続税額を計算します。
実際の相続割合が妻50%、長女20%、長男30%だった場合
相続税の総額は1,450万円と変わりませんが、各人の負担する相続税額が変わります。
各人の相続税額 | |||||
---|---|---|---|---|---|
妻 | 1,450万円 | × | 50% | = | 725万円 |
長女 | 1,450万円 | × | 20% | = | 290万円 |
長男 | 1,450万円 | × | 30% | = | 435万円 |
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